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物流の2026年問題とは?改正物流効率化法をわかりやすく解説

物流業界で「2026年問題」という言葉を聞く機会が増えました。運送会社だけの話と思われがちですが、実際には荷物を出す企業・受け取る企業にも関わる制度変更です。本記事では、法律の背景から対象となる基準、企業に生じる義務までを順番に解説します。

物流の2026年問題とは何か

物流の2026年問題とは、改正物流効率化法によって一定規模以上の企業に物流効率化の義務が課されることを指します。正式名称は「物資の流通の効率化に関する法律」で、2024年5月15日に公布されました。物流を支える仕組みを維持するため、荷物を扱う企業側にも協力を求める内容です。

2024年問題との関係

背景にあるのが、いわゆる「2024年問題」です。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限が設けられ、1人が運べる荷物量に制約が生まれました。輸送力の不足を運送会社の努力だけで補うのは難しく、荷物を出す側・受け取る側の協力が不可欠という考え方が背景にあります。

問題視されている「荷待ち時間」

ドライバーが荷物の積み下ろしを始めるまでに待たされる時間を「荷待ち時間」と呼びます。積み下ろし作業そのものにかかる時間は「荷役等時間」です。いずれも荷主側の都合で発生しやすく、法律ではこの2つの短縮が中心的な取り組み事項に位置づけられています。

段階的に進む施行スケジュール

この法律は2段階で施行されました。第1段階は2025年4月で、すべての荷主・物流事業者に物流効率化への努力義務が課されました。第2段階が2026年4月で、一定規模以上の事業者に具体的な義務が発生します。この第2段階が「2026年問題」と呼ばれる部分です。

対象となる「特定事業者」の基準

義務の対象となるのは、基準値を超える「特定事業者」に指定された企業です。特定事業者は事業の性質ごとに4種類に分かれ、それぞれ異なる基準値が設定されています。

4種類の特定事業者と基準値

  • ■ 特定荷主(第一種・第二種):取扱貨物の重量が年間9万トン以上
  • ■ 特定連鎖化事業者(フランチャイズ本部):同じく年間9万トン以上
  • ■ 特定貨物自動車運送事業者等:保有車両台数が150台以上
  • ■ 特定倉庫業者:貨物の保管量が年間70万トン以上

第一種荷主と第二種荷主の違い

第一種荷主は、自ら運送会社に運送を委託する立場、つまり主に発荷主です。第二種荷主は、自らの事業に関して運転者から貨物を受け取ったり引き渡したりする立場で、主に着荷主が該当します。

立場ごとに判定される点に注意

基準値は会社全体の貨物量ではなく、第一種荷主・第二種荷主それぞれの立場ごとの重量で判定されます。出荷側では基準に届かなくても、入荷側で超えていれば対象になる可能性があります。

基準値はどう決められたのか

9万トンという数字は、取扱量の多い企業から順に並べ、日本全体の貨物量の約50%をカバーする水準として設定されています。影響力の大きい企業から優先的に対象とする考え方です。そのため、中小規模の事業者の多くは対象外となります。

貨物の重量を把握する方法

「そもそも自社の貨物重量が分からない」という声は少なくありません。特に軽量品を扱う発荷主や、卸売業・小売業のように着荷主となるケースでは、重量の把握に大きなコストがかかります。そこで制度上、簡便な換算方法が認められています。

認められている換算の考え方

  • ■ 商品マスタに登録されている重量データから集計する
  • ■ 容積が分かる場合は1立方メートルあたり280キログラムとして換算する
  • ■ 輸送するトラックの最大積載量を貨物重量とみなす
  • ■ 売上金額や仕入金額をもとに重量を換算する

いずれの方法でも、まず自社の出荷・入荷データが整理されていることが前提になります。日々の実績を記録できる体制があるかどうかが、最初の分かれ目です。

特定事業者に課される4つの義務

1.事業所管大臣への届出

前年度の実績が基準値以上であれば、事業所管大臣への届出が必要です。手続きは原則としてオンラインで行い、GビズIDの事前取得が求められます。一度指定を受ければ、翌年度以降も基準を超え続ける限り再度の届出は不要です。

2.中長期的な計画の作成

荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮、1回あたりの積載量の増加について、実施する措置と目標、実施時期などを記載した計画を作成します。毎年度の提出が基本ですが、内容に変更がなければ5年に一度の提出でよいとされています。

3.物流統括管理者(CLO)の選任

特定荷主と特定連鎖化事業者には、物流を統括する責任者の選任義務があります。物流改善を現場任せにせず、経営課題として推進できる体制を求める趣旨です。

4.定期報告

取り組みの実施状況を毎年度報告します。荷待ち時間や荷役等時間の実績データが必要になるため、日常的な計測と記録が欠かせません。

違反した場合の罰則

基準値以上であるにもかかわらず届出をしなかった場合や、虚偽の届出をした場合には、50万円以下の罰金が科されます。中長期計画を提出しなかった場合も同様です。

対象外の企業に関係がないわけではない

基準値に届かない企業にも、2025年4月から努力義務が課されています。取引先が特定事業者である場合、荷待ち時間の短縮や納品時間の調整に協力を求められる場面も想定されます。「対象外だから関係ない」と考えず、自社の物流実態を把握しておくことが望ましいでしょう。

よくある質問

Q. 中小企業も対象になりますか

A. 基準値が大企業を想定した水準のため、多くの中小企業は対象外です。ただし取扱量の多い卸売業などは該当する可能性があるため、一度確認しておくと安心です。

Q. 基準を下回った場合はどうなりますか

A. 今後も基準値を超えることがないと明らかに認められる場合は、指定の取消しを申し出ることができます。

Q. 発送業務を外部に委託していれば義務はなくなりますか

A. 義務は荷主である自社に生じるため、委託によって免除されるものではありません。ただし出荷データを一元管理できる委託先であれば、重量の把握や実績報告の負担は軽くなります。

まとめ

  • ■ 2026年問題とは、改正物流効率化法による荷主等への義務化のこと
  • ■ 特定荷主の基準は年間9万トン。立場ごとに判定される
  • ■ 義務は届出・中長期計画・CLO選任・定期報告の4つ
  • ■ 対象外でも努力義務と取引先対応は残る


※本記事は2026年7月時点の情報をもとにした一般的な解説です。最新の基準・手続きは国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト等でご確認ください。

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